統計の活用
   
標準化値って何?
VisualHealth.Naviでは、標準化値によって、検査値が性別年令別に見た平均値を基準として、どの程度に外れた位置・範囲にあるかを示しています。
標準化値が100に近いほど、性別年令別に見た平均値に近いことを示しています。また下限が80、上限が120(±2×標準偏差)の領域には95%の人が含まれることを、同様に、下限が85、上限が115(±1.5×標準偏差)の領域には85%の、下限が90、上限が110(±1×標準偏差)の領域には68%の人が含まれることを表します。

標準化値が120以上か80以下であるということは、性年齢別に見て5%以下のグループに属することになりますから、あまり一般的ではないことを示唆しています。下図ではグラフの中の面積を人数の割合と考えてください。80以下、120以上の部分の占める面積が極めて小さい(実際には5%以下)ことが分かります。

VisualHealth.Naviでは標準化値80〜120または85〜115を健康基準範囲とし、性年令的に一般的であると判定しています。
標準化の例
左表には検査値と、性別年令で標準化した標準化値が基準値、単位とともに示されています。
この標準化値をプロットしたのが下段のボーダーグラフです。

この例では、白血球は基準値内で標準化値からみても平均であることを示していますが、赤血球は基準内ではありながら、1.5標準偏差範囲を超えていることがわかります。また、血色素は基準値を0.4(3%程度)下回っただけでありながら、標準化値では2標準偏差範囲を超え、性別年令的には極めて異端な検査データであることを示唆しています。
    
基準値
現在健康診断やドックなどで一般に使われているのは「基準値」という物差しです。
医療データとして馴染みのある、臨床検査値など量的検査の多くの正常値はこれまで、医学的に健常と判断された人を集めて、<平均値>±2<標準偏差>の範囲(95%領域)を正常領域として表し、その範囲の中にある値を正常値としてきました。

健常人を集めて検査した結果であるにもかかわらず、正常領域からはずれていると異常値とされます。即ち、異常値の意味から「病気である」と解釈され、一方「正常値」に対しても誤解を招きがちでした。また、性・年齢などの生理的な変化が反映されていない全検査から算出された平均値と標準偏差での正常領域にある検査値を正常値と呼ぶことも、結果判定に混乱が生じていました。
この混乱を解消するために、平成9年以降は、検査値に対する「正常値」の表現を「基準値」が採用されるようになりました。
基準値は
   厳密に医学的に健康であると診断された健常個体(基準個体)が示す定量検査の測定値
   定性検査および上限値と下限値の両方を求められない定量検査などについて健常個体が示す測定結果
の2つの意味で使われています。
基準値の取り決めは一般的に臨床的検査学的に異常を示さない人を健常人と規定し、その示す数値を母集団として「平均値±2SD(標準偏差)」を求め、この範囲を基準範囲、平均値を基準値と呼んでいます。検査値を臨床的に解釈するときの基本的な尺度となる。健常人の95%がこの範囲に含まれます。

検査値は固有な値を持ち性別・年齢で変わることもあります。またそれぞれに基準値が定められていて健康診断受診者にとって結果説明や結果表から自分の臨床検査値が健康基準値のどの位置にあるか理解することが難しいなどが問題点となっています。EBM(Evidence Based Medicine)に基づいた基準値を決めなくてはなりません。

VisualHealth.Naviでは、「基準値」を更に展開し、健康健診における性・年齢別を調整した「標準化健診値」を算出し、性や年齢相応の健康維持、健康管理のための正しい情報を把握できるようにしています。
性別による基準値への影響
性別による検査値の変動の大きい検査項目には次のようなものがあります。
男性>女性
赤血球、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値、プレアルブミン、ハプトグロビン、尿酸、BUN、クレアチニン、総ビリルビン、VLDL、γ-GTP、フェリチン、CPK、17-KS、17-OHCS、カテコールアミン、アドレナリン、腎機能
女性>男性
血沈、ZTT、中性脂肪、IgM、IgD、クレアチニン、GH、エストロゲン、プレグナンジオール、黄体化ホルモン、プロラクチン
年令による基準値への影響
年令による検査値の変動の大きい検査項目には次のようなものがあります。
高齢高値
リン脂質、NEFA、血糖、アミラーゼ、ZTT、TTT、BUN、尿酸、クレアチニン、単球比率
高齢低値
総タンパク、クレアチニン、中性脂肪、コレステロール、総ビリルビン、ALP、Ch-E、GOT(AST)、GPT(ALT)、LAP、CPK、γ-GTP、赤血球数、Hb、Hct、血小板数
幼年高値
アルカリホスファターゼ(ALP)、酸性ホスファターゼ(ACP)、A/G、GOT(AST)、GPT(ALT)、コリンエステラーゼ、CPK、カリウム(K)、NEFA、γ一GTP、サイロキシン、リンパ球比率
幼年低値
血清タンパク、グロブリン(Glb)、アミラーゼ、総コレステロール、TTT、クレアチニン
EBMと標準化値   
  
標準偏差や統計のこと
VisualHealth.Navi では性別年令別の平均値や標準偏差を利用しています。
ここでは、VisualHealth.Navi で利用している標準偏差や統計のことについて、簡単にご説明をします。
  
一般的なこと
平均値(mean )と標準偏差(standard deviation) はデータ全体(ある集団)の特徴を簡潔に示してくれます。平均値は分布の密集地を標準偏差は分布のばらつき(広がり)を表すと言えます。
平均値については次のことについて注意する必要があります。
   分布の中心に位置するとは限らないこと
   最も多くが集まっている(最頻値)点であるとは限らないこと
正常を示す値であるとは限らないこと
但し、データがだいたい正規分布(normal distribution )に近い分布をしている場合は、平均値が適切な値であるということができます。

以下にこのシステムで使われる統計用語の一般的な定義を記述します。
正規化 データを一定のルールに従って変形し、利用しやすくすることで、多くの分野で使われている言葉で、その分野によって意味も大きく異なります。
平均値 言うまでもなくデータの総和をデータの個数で割った物です。平均値は、全体の傾向を表すのに適当な代表値として、分布を要約する意味では、最もよく用いられている値です。得られるデータがばらついていたときに、将来得られるであろうデータの値として最も可能性の高い(期待できる)値でもあります。
標準偏差 データのばらつきの大きさを示す尺度で、データの平均値からの隔たりの大きさの2乗値を平均したものの平方根です。標準偏差が大きいこということは、集団の値に大きなバラツキがあることを表しています。反対に標準偏差が小さいということは、平均値の近くにかなり集中していて、格差が少ないことを意味しています。
正規分布 正規分布は中央が一番高く、両側に向かってだんだん低くなっていき、左右対称の釣鐘型をしています。正規分布の場合、この中央の一番高い位置に平均値がきます。
正規分布であれば、その平均値や標準偏差に関わらず、
 ・平均±1×標準偏差に属する確率は0.683
 ・平均±2×標準偏差に属する確率は0954
となります。
標準化 平均値や標準偏差が特定の値になるようにすることを標準化といい、平均値や標準偏差が異なるデータを同じ土俵の上で見ることができます。
  
VisualHealth.Naviでの統計利用
VisualHealth.Naviでは、正規分布であることを基に平均±1.0×標準偏差、平均±1.5×標準偏差、平均±2.0×標準偏差 を判定の境界値としています。
標準偏差 1  (1 SD)
平均±1.0×標準偏差 の範囲に含まれる確率
68.3%
 
標準偏差 1.5  (1.5 SD)
平均±1.5×標準偏差 の範囲に含まれる確率
86.6%
 
標準偏差 2  (2 SD)
平均±2.0×標準偏差 の範囲に含まれる確率
95.5%